海溝

覚書とか忘れたいこととか

バディミッションBONDをやって情緒を狂わせ自律神経を整えろ

各界隈で話題になっているバディミッションBOND、全てのエピソードをコンプリートしましたので感想とか疑問とか書きたい事とかを書こうと思います。

後半は容赦なくネタバレする予定なので今後プレイする予定がある方はお気をつけください。

 

まずネタバレ無しにこれからやるかもしれない人向けの感想を書いとくと、たぶん小中高時代に少年ジャンプの漫画を読んでたオタクならば絶対何かしらが刺さるゲームなので絶対にやった方が良いです。

友情!努力!勝利!みたいなやつではないけど、形は違えどそれぞれに抱えてる『どうにもならなかった』想いを、ひとつの事件を通して別の物に昇華させていく…みたいな話が好きなオタクは絶対手を叩いて喜んじゃうと思う。私はそうでした。

私は小~高校生の頃、みんながFFとかドラクエとかやってる中、それらに一切触れずずーっとひとりで幻想水滸伝で遊んでたような、好きな物を好きな時に好きなように愛でてきた捻くれオタクだけど、良くも悪くも『みんなが好きなタイプの』王道を突き進んでくれたから夜な夜な「わ、わ、わ、わかり~~~~(頭抱え)」「こんなん好きに気決まっとるやないの~~~(床を転げまわる)」みたいな声を出してたからそうじゃない人はもっともっとストレートに好きなはず。

その『わかる』や『好き』がどんな種類の物かはちょっと具体的に言うとネタバレになりかねんのでふんわりとだけ書いとくね。

まあオタクに限らず、人間が様々な人間に抱くありとあらゆる感情を6通りのバディが再現してくれてるのでバディミッションBONDは人生に寄り添うゲームなのかもしれない。大袈裟な…と思うかもしれないがこれはやった人にしかわからんのだよ。

あーそうそう、これは4人のメインキャラを自由に組み合わせて謎を解いたりダンジョンに潜入したりみたいなことをするゲームなんだけど、その組み合わせが6通りあるんです。

しかも潜入フェーズのときにも当然会話が6通り用意されてるから推しバディだけじゃなくて他の組み合わせでも試したくなる→試す→新たな可能性に気付く→無限ループみたいな感じになる。

更に、一つの章をクリアするごとにメインキャラだけでなく各キャラのサブエピソードみたいなのも解禁されるから感情が忙しい。公式が二次創作より二次創作してるってどゆこと。同人女の敗北とはこのこと。

当然夜寝られなくなるからその点に於いてはマジ欠点しかないと言えます。

 

と、まあここまでゴリ押ししてきたけど、正直QTEに関してはクソクソのクソだったな。コツさえ掴みゃS判定も余裕で取れるんだけど。あと多分謎解き要素とかもこのゲームには求めない方が良い。ただの記憶ゲーなので。

でもその辺差し引いても十分お釣りがくるくらいには面白かったので良いです。ボーテ100点。

 

じゃあここからは既プレイ者向けというか私がプレイしてて思ったことを各キャラごとに書きます。

息を吐くようにネタバレするのでやる予定がある人は全エピソード読んで情緒を壊してからまた来てね。

 

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ルーク・ウィリアムズ

みんなのヒーロー:ルークさん。どこにでも居る普通の男の子がヒーローになるっていう物語ってなんでシンプルで使い古されたネタなのにこんなに面白いんでしょう。

でもそういう物語って大抵の場合、実は孤児ではなくどこぞの国の王族だったりとか、何かものすごい力を持っていたりとかするけど、彼の場合は最後までただの熱くて甘い物が好きな人間だったってところがめっちゃよかったな。

決して楽な人生ではなかったと思うけど、なんでここまでポジティブに育ったんだろう…って思った時にやはりエドワードの存在がデカかったんだろうな。

自分の信じていた物が実は自分の道理から大きく外れる存在だったとしても、信じていた期間に得られた物は自分にとってはかけがえのない物になる。

エドワードと過ごした時間で得た、そのかけがえのない物である「ヒーローになる」っていう信念を貫けたAnotherはダバダバに泣けた。

いやらしくない部類の天然ジゴロなのに、スイちゃんからの好意をなんとなく察しちゃってる辺り、やはり腐っても25ちゃいなんだな…って思わされてちょっとドキドキしちゃった。
しかもさすがヒーロー。人としての道を踏み外さない(=未成年との交際を一旦保留にする)とこほんとに好き。なんか教育実習生と女子高生みたいな関係だよねルクスイちゃん。推せるわ。

 

アーロンに対しても、モクマサンに対しても、チェズに対しても、持ち前の明るさと信念振りかざして結果みんなをハッピーにしちゃったカリスマ。彼なら内部から組織を変えていけるはずなんだ。がんばれ。

 

アーロン

誰よりも勇敢な選択が出来るヒーローその2。BOND唯一のツッコミ。笑うとかわいい。

生きるか死ぬか…みたいな環境で育った来たわりに一番メンタル安定してるというかもうセルフコントロールおばけだよな。テメェの機嫌はテメェで取れドギー。あたしも見習いたい。人として学ぶところが多いキャラでした。

凸凹コンビとでも言いましょうか。腐的な意味ではなく、ルークさんとはほんとに足りない所を補い合える最高の相棒という関係だったと思います。助けたり助けられたり、与えたり貰ったり。そんな関係。ルークとアーロン、実家のような安心感。

これは考察の部類に入りますが、アーロンがルークを助けに行く時はメンタルズタズタにされてて、ルークがアーロンを助けに行く時はフィジカルがズタズタになってるのは意図的な対比なのかな。この辺もじっくり掘り下げてったら面白そう。

アラナさんとの義姉弟関係も良いよねえ。ナデシコさんがアラナさんに「色恋的な感情を抱く事はないか?」って聞いてて笑いながら否定してたけど、彼らの間にあるのは完全に家族愛なんだ。それはわかる。そしてそれでいいんだ。シナリオライターほんとによくわかってんな。すごいぞ。

実は4人の中で一番オトナなのに、モクマサンと絡むと一気に少年っぽさを出してくるとこも良い。そしてチェズとの絡みはまじでツボでずっと笑ってた。めっちゃ仲ええやんけ。

 

モクマ・エンドウ

オタクはみんなきゃわきゃわなおじさんが好き。ルークさんは天然ジゴロなところがあるけど、この人の場合はなんなんだろう… ファム・ファタールとでも言うべきか。言い過ぎ?

みんな自分に近寄ってくるけど、近寄られる度に色んなものが壊れていく。自分の目の前で、或いは見えない所で。だからこそナデシコさんの所からも逃げたのかな…なんてことをちらっと考えたりもした。

自分は女の尻を追っかけるくせに、いざ言い寄られるとはぐらかして逃げるタイプのおじさんってマジでたちが悪いよね。大好きなんだよね。

そういやナンパをしたがるのは、自分はほんとはモテないんだよってことを自覚したいからなのかな?なんてことも考えたな。自分は大した人間じゃないって思う事で安心したい的な。いやたぶん普通に若い女の子が好きなだけ。

話それた。彼の気持ちを考えると、ほんとよくミカグラ島に戻ってきたよなあと思う。えらい。でも嘗て気持ちを踏みにじった(多分自覚はあったよね)人に利用されるなら本望だったんだろうかな。幸せの形は人それぞれだから。愛って難しいね。

 

色んなことを清算して、清算するのを手伝ってくれたチェズと一緒に新しいお仕事を始めたエンディング後は素直に「よかったねーーー」という気持ちだった。

ナデシコさんとチェズとのスリーショットもどちゃくそ楽しそうで泣きたくなった。自分を大事にしながら本当の意味で楽しく生きていってほしい。

 

チェズレイ・ニコルズ

これは断言したいんだけど、バディミッションBONDは彼の物語です。

母親との関係、ファントムとの因縁、仲間との関り、全部に於いて掘り下げ具合が半端なくてサブエピ読みながら何度も唸ってしまった。

独自の犯罪美学を持つ変態…だけじゃ終わらなくて、素性は誰よりも人間臭い人なんだと思う。

モクマさんに向ける感情の種類はいろいろあるのかもしれないけど、その中のひとつに“自分にできなかったことをやってのけた人に対する”尊敬もあったのかな。それは無自覚というか、認めたくない類のものだったのかもしれないけど。

BONDメンバーは皆一様に『救えなかった人』が居て、それらの重さは比べられる物ではないけれど、私は彼が救えなかった物が一番重くて辛くて悲しくて冷たい物だったと思ってる。

でもその分、伸びしろが多いというか、“ボス”やモクマさんとの関りを通して得た物は大きくて、結果最終的には人間に成れた。

彼関係で一番好きなシーンは、やっと再会できた因縁の相手であるファントムの横を素通りして落ちていくモクマさんを助けに行くとこなんだけど、あそこで彼の過去の半分は清算できたんだろうな。でも残りの半分はルークさんと深く関わる中で自然消滅したに等しいのだけど。ルークさんすごい。

嘗て救えなかった、自分のせいで死んだ母親が自分に向けていた物を今度はルークさんに向けるのはおままごとなんかじゃない。絆だよ。そう、これはチェズレイの物語…

 

至極どーでもいいんだけど、あの野菜は一体だれがどこで育てた物なんだ。

麦わら帽子を被って土いじりするモクとチェズは見た過ぎるので続編出してくれ。

 

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思ってたより長々と書いてしまった。

とりあえずメインキャラだけ取り出して書いたけど、もうちょっと書きたいサブキャラも居るのでまた追記するかも。

とにもかくにも楽しいゲームでした。

ありがとうバディミッションBOND。